当社では、『障害のある人と共に楽しみながら働くことを「理想」で終わらせず「現実」のものにしよう』と働きかけを行い、障害のある社員の成長を見守ってきました。また、『働きたい、働かせたい』という労使双方の粘りある一生懸命な思いが、能力の向上と相互信頼を生みました。
成長が見込まれる人材育成は、会社経営にプラスとなって、貢献寄与を生みだします。マイナスからプラスへの転化は、上司の手腕や指導力にもよりますが、障害のある人は前進後退を繰り返しながら確実に成長していきました。その鍵は長所を引き出すという所にありました。誰にでも得意じゃないことや苦手なこと、自分に合わないことがあります。当社は障害のある人にいろいろな部署・作業セクションを経験させることで、本人の特性や可能性を引き出すことで、仕事のベストマッチングができることに気づきました。それぞれの部署に担当をつけた事で障害のある社員が輝き始め、強い責任感が生まれ始めました。マイペースで安全正確な製品造りをする彼らが、責任感を持って仕事をすることで、今では当社のスペシャリストと呼ばれるまでに成長しました。
また、当社では社員による社員会議を頻繁に開催しています。もちろん障害のある社員にも全員出席してもらいます。どんなことでもいいので、意見を出してもらっています。社員会議の中で、作業改善や危機管理、経営・運営の方向性についても、みんなで議論します。社員会議は単なる話し合いではなく、日々の作業に根ざしています。意見を出しあうことで、一人ひとりの考えを理解することもできます。
時には社員一同で気分転換もします。社員旅行や余暇で、働くことの楽しみを実感することは重要だと考えています。職場以外の場所で彼らとコミュニケーションをとることで、職場では見えなかった彼らの本心や性格・特性が見えてきました。 |